健康ア・ラ・カルト
「運動とインスリン抵抗性 パート3」~さとやま整形外科内科院長が贈るコラム~
健康ア・ラ・カルト#10
さとやま整形外科内科院長が贈る本コラムでは健康に関する雑話や豆知識などをいろいろご紹介していきます。
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「運動とインスリン抵抗性 パート3」
今回は聞き慣れない「インスリン抵抗性」について、シリーズの第3回です。
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前回は、インスリン抵抗性は本来過剰の栄養が細胞内に蓄積されるのを防ぐ生体の防御機構であるけれども、それが裏目に出て多くの生活習慣病を惹き起こす原因にもなっていることを述べました。
今回は糖や脂肪代謝の中心である骨格筋と肝臓の現場を見てみましょう。
食後、血中に入った糖(グルコース)の80%がインスリンによって骨格筋に取り込まれ、大部分がグリコーゲンになって蓄えられます。
グリコーゲンが飽和状態になると合成にストップがかかり、それ以上はつくられない仕組みになっています。
そしてこの場合、グルコースはグリコーゲンではなく、何と脂肪の合成に切り替わるのです。
その結果、骨格筋や肝臓に脂肪が蓄積して、その代謝産物がインスリンの働きを阻害しインスリン抵抗性となるのです。
例えば、家畜に強制的に餌を与えてつくるフォアグラや霜降り肉を想像してみてください。
餌の中の炭水化物がグリコーゲンではなく脂肪になった結果です。
ヒトでも実験的に、7日間無動(ベッドレスト)の状態に置き、過食をさせると1日に摂取したグルコースの約1/3が脂肪に変わることが示されています。
これを解決するには減食し、運動をすることで異所性に蓄積した脂肪や過剰のグリコーゲンを減らすことが、多くの健康被害を惹き起こすインスリン抵抗性を解除してくれる唯一の方法なのです。
インスリン抵抗性に関し、日本でいち早く人工膵臓を駆使して臨床研究を展開。 医学博士号取得、元日本糖尿病学会専門医、指導医、功労評議員。
沼津市東原(愛鷹)の「さとやま整形外科内科」 内科・リハビリテーション科・整形外科
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