健康ア・ラ・カルト
「運動とインスリン抵抗性 パート1」~さとやま整形外科内科院長が贈るコラム~
健康ア・ラ・カルト#8
さとやま整形外科内科院長が贈る本コラムでは健康に関する雑話や豆知識などをいろいろご紹介していきます。
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「運動とインスリン抵抗性 パート1」
今回は聞き慣れない「インスリン抵抗性」について、2-3回のシリーズでお話します。
実は「インスリン抵抗性」は糖尿病の原因であるばかりではなく、多くの生活習慣病(高血圧、高脂血症、動脈硬化など)の発症基盤と考えられる重要な病態なのです。
さて皆さんは糖尿病はインスリンが不足するために起きると思っていませんか?
確かに、インスリンが乏しい(つくれない或いは膵臓を手術で取ったなど)1型の患者さんもいますが、ほとんどの患者さん(2型)は健康者並のインスリンを持っていながら糖尿病が起きているのです。
すなわちインスリンが十分あるのに血糖が高いという矛盾した状態が「インスリン抵抗性」なのです。
言い換えれば、体がインスリンに反応しない(抵抗性である)ことを意味しています。
それでは「インスリン抵抗性」はどうして現れるのでしょうか?
「インスリン抵抗性」と最も関係が深いのは栄養過多の肥満です。
栄養素のブドウ糖、脂肪酸やアミノ酸は細胞内に取り込まれて、それぞれグリコーゲン、トリグリセリドやタンパク質につくり変えられます。
インスリンは栄養素を効率よく取り込み、自分の体に同化する最強のホルモンです。
しかし過剰の栄養が洪水のように押し入って来ては体にとって有害です。
そこでこれを食い止めるために体がインスリンの働きに対して赤信号を出した状態が「インスリン抵抗性」なのです。
つまり「インスリン抵抗性」は過栄養から体を守る防御機構と言えるのです。
インスリン抵抗性に関し、日本でいち早く人工膵臓を駆使して臨床研究を展開。 医学博士号取得、元日本糖尿病学会専門医、指導医、功労評議員。
沼津市東原(愛鷹)の「さとやま整形外科内科」 内科・リハビリテーション科・整形外科
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